年俸制で教授をめざせ!

大幅アップ!960万円増...更改」などと、プロ野球もオフシーズンで、契約更改真っ盛りの今日この頃である。

「年俸」という言葉を聞くと真っ先に思い浮かぶのがプロ野球選手の契約更改である。

「600万減」、「1800万up」、「300万円増」、「840万円増」「300万円減」など、派手な見出しがニュースとなる。



年俸制...そんな言葉は大学の教員には無縁だと思っていたが、
ついに、国立大学の教員にも年俸制の導入が始まろうとしている。
文科省にはそのための「年俸制導入促進費」が予算として確保されている。文科省資料(直リンク)
10ページ目「年俸制導入促進費」から引用しよう。

退職手当の予算措置手法など、現 行制度の基本的な枠組は崩さない範囲において、年俸制の本格導入に向けて、必要 な財政支援を行う。
(略)
24億円(いわゆる袋予算として確保)
(略)
「国立大学改革プラン」(平成25年11月26日公表)において、人事・給与 システムの弾力化を進めることとしており、年俸制については、特に教員の流動性 が求められる分野において、改革加速期間中に1万人規模で導入していくこととし ている

ちなみに国立大学改革プランのページはこちら

背景はいろいろあるが、人材の流動化というのが一番であろう。

では、大学における年俸制とはどのようなものになるのであろうか。プロ野球選手の様に派手なものだろうか?
野球選手と額は違えど、

60万減、180万up, 30万増, 84万増, 30万円減
などと、なるのだろうか?



前述の「年俸制導入促進費」によって、全国の国立大学で年俸制に移行した教員にとって最も大きな違いは、
先ほどの文科省の資料から引用すると、

(1)定年退職した場合の退職手当相当額と(2)切替え時点で仮に自己都合退職したものとして算定した退職手当相当額との差額を、切替え時点か ら定年までの残存期間で除して算出した額(国家公務員準拠)を積算することとしている。切替え時点で自己都合退職したものとして算定した退職手当相当額は、実際に退職した時点で支払う。

とのことである。これまでの退職金の支給額は「大学教員の退職金
に書いた様に、、退職日の俸給月額勤続年数によって数千万円の退職金をもらっていた訳である。
ただ、この仕組みは「教員の流動化:退職金の通算問題」にまとめた様に、大学教員の流動化にとって大きな障害となっている。
この障害を取り除くこともあってか、年俸制では、

    1. 定年まで勤続した場合にもらえるであろう退職手当を分割して支給する。
    2. 年俸制に移行する時点で自己都合退職として、その場合にこれまで通り算出される退職金は実際に退職する際にもらえる。
    3. 年俸制に移行するまでの勤続期間はカウントしない(?)。

などとなっている様だ。年俸額によるのであるが、当面、年俸制に移行しても不利益の無い様になっている様である。
(勤続年数の点で不利益にならないのか、少し疑問があるが。。)


退職金の分割支給は移行した教員にメリットがあるのではと思われる。
将来何かの間違いで「懲戒解雇」になっても(おいおい)、退職金を少しづつ
もらっておけば損しない、などというメリット(?)もあるかもしれないし、
後から数千万もらうより、先にもらって投資する方が良いであろう。
(使ってしまうかもしれない、というのは置いといて)


他方、年俸制の業績給がどのように決まるのか、
は不透明であるが、「アメリカ化する大学」に書いた様に、
「 多く研究費をとってくる教員には多く給与が支払われる」という制度になっていくのであろう。


科研費の間接経費の何割かが給与に反映される
という話も聞こえてくる。トップジャーナルに論文を掲載し、大型予算をとってくる給与の多い勝ち組教員と
大型予算をとってこれない給与の少ない負け組教員に二分される時代が到来するのである!
(二分とまではいかないだろうけど。。。)


予算申請めんどくせぇし、そんなに金なくても研究できるし」とか言ってると、給料まで少なくなるのである。


さて、これから教授をめざす若手教員は、年俸制に移行するのは自由であるが、一度移行すると戻れない
らしいので、よく考えて、教授をめざせ!