イタリアで教授をめざせ!

以前の記事「大学教員の給与4:アメリカ化する大学」に書いたが、
アメリカで大学教授を目指す道は、日本と同じく長く険しい道の様であるが、より「フェア」である印象を受ける。
また、大学教員の給与面では頑張れば頑張るほど高待遇になる様であるし、その辺りが日本よりフレキシブルで
それが強力に研究を押し進めるモチベーションにもなっている様だ.

さて、では他の国はどうであろうか。アメリカなど到底及ばない歴史があるヨーロッパではどうであろうか。
その一面を伺い知ることができる記事が、日本数学会 数学通信第10巻第3号に掲載されている。
イタリアにおける数学者の雇用と研究費について 正宗淳

注目すべきところを以下に抜き書きすると、

  • 300以上の大学のほとんどが国立
  • 教員の職階は教授、準教授、研究員
  • 定年は教授が70 才,準教授は65 才
  • 教授・準教授には年間120時間の講義義務(日本の言い方だと、1コマ90分で半期3コマ、年間6コマぐらいか)
  • 教授の着任時の年収の目安が48000ユーロ(日本円で768万円, 1ユーロ160円で計算)
  • 給料比は「教授:準教授:研究員= 100:70:50」
  • 二年ごとに前年の給料の8 %が昇給
  • 博士課程の学生に対しては,月約900 ユーロ(手取り約14万円)が払われる共同研究給与がある

など、大変興味深い。印象としては日本に大変近い様だ。教授が70歳定年というのが素晴らしい。二年ごとに8%昇給!

アメリカの大学の話をするときによく耳にする、「大学院生が給料をもらえる」と
いうことがイタリアでも制度化されている様だ。

日本も巨大プロジェクトに研究費を注ぎ込むよりも、大学院生が安心して「博士」を取得することに経済的なバックアップを
すれば良いのでは、と常々思う。3年〜5年の少しゆったり時間をとって研究を考えるためには、大学院生が安心して研究に
取り組めることが大事である。また、課程博士の標準が3年だったとしても、課題によっては5年かかることもある。
その場合でも継続して経済的なバックアップがあることが、どんなに素晴らしいことか。

「すべての道は教授へ通ずる」と信じたい。