理研のユニットリーダーはトップエリートなのか?

twitterで、サイエンスライター
片瀬久美子氏、公務員の佐藤まり氏によって、下記(リンク先)の様なやりとり
があった。

理化学研究所のユニットリーダーはどういう待遇なのか?
という疑問について、少し調べたのでまとめておく。

文末のソースにあるように、理化学研究所のユニットリーダーは

  • 常勤(週40時間, フルタイム労働)
  • 有期雇用労働者(1年以下の契約期間を定めて雇用)

である。その意味で大学でいうところの「特任教員」と同じであろうか。


給与は年齢にもよると思うが、以前まとめた
ポスドク・特任教員(特任助教, 特任講師, 特任准教授, 特任教授)の給与
が参考になるだろう。同じく理研ポスドク「基礎科学特別研究員」よりは給与は高いのであろう(こちらも若手PDにとっては高給である)。
ちなみに理化学研究所は平成22年度にこのユニットリーダー等の給与決定法について不明瞭な部分があったらしく
会計検査院から改善を要求されている。

研究系管理職の年俸について、原則として、就任直前の年収額と理研が定めた算定方法による金額とを比較して、前者が上回る場合には、後者に一定の率を乗じて加算した額とするなどとしている一方で、
特に理事長が必要と認める場合には、例外的取扱いができるとしていた。そして、年俸決定の実態についてみると、20、21両年度における研究系管理職の中に、例外的取扱いにより年俸を決定されている者が相当数見受けられ、また、それらの理由等についても十分に示すことができない状況となっていて、その運用が不明瞭なものとなっていた。

というわけで、待遇も上層部の自由にできる、違う意味での科学者の自由な楽園なのかもしれない。

後述の任期の無い研究員については「独立行政法人理化学研究所の役職員の報酬・給与等について」に平成24年度の平均給与などが載っている。

さて、理研の研究者がトップエリートかどうかだが、
一概に「理研の研究者」といっても、理研には様々な研究者がいる。
テニュアのある(任期のない)研究職としては主任研究員(大学の教授に相当、大学教授と兼務している人も居る)、
専任研究員(大学の准教授、講師相当)、研究員(助教相当)
などがある。(過去記事「教授相当の独法研究員をめざせ!」参照)
これらの研究職以外はユニットリーダーなどの強そうな名前が付いていても
テニュアではなく(テニュアトラックでもない)、任期の確実に切れる、
待遇としては条件の良いポスドクの様なものである。

(wikipedia:理化学研究所より)
大半の者は1年契約であり、1年ごとに厳しい研究評価をくだされる。研究業績が基準に満たされない時は、雇用が解消される。一方で、年契約のシステムは研究者の流動性を生んでいる。優秀な研究者は理研で研究成果をあげて、ステップアップをかねて他の研究機関に移っていく。

雇用条件としては、大学のテニュアトラック付の特任教員の方が良い場合もあるだろうが、
研究室主催者として、後述のように3〜5人の部下を持てる予算が付くのは大きな魅力である。
(大学のテニュアトラックの特任教員だとせいぜい1人か2人では。後は学生をつけてもらえるかどうか。)
その意味で、トップエリートのキャリアパスの選択肢としてあり得るとも言えるかもしれない。
(トップエリートが何かはともかくとして、まぁ雰囲気で。)
そのあたりは@Mochimasaさんのツイートを引用しておく。

(パーマネントとは任期のないこと。テニュアと同じ意。)


科学者の自由な楽園・理化学研究所が舞台となったSTAP細胞事件は、ここ最近では学術業界で最も大きなスキャンダルであり、
若手研究者にとっても目のはなせない事件となってしまったのではないかと思われる。
当初は不謹慎ではあるが「他人の不幸は蜜の味
という面もあったが、ここまで驚くような不正疑惑が次々とでてくると、
「ええ。。。マジでぇ。。」
とドン引きで脱力感に苛まれる。
そろそろ一段落の気配であるし、年度末学会シーズン、そして、3月、4月は別れと出会いの季節である。
気を取り直して日々の研究に邁進しようではないか。レッツ教授をめざせ!
科学者の自由な楽園 (岩波文庫)

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下記、理研ユニットリーダーに関するソース。


今公開されている理研採用情報には
「ユニットリーダー」の職種は無い様なので、過去の情報をアーカイブより探してみた(こちら)。
下記にその待遇部分を抜き出してみた。

任期は原則5年。(雇用契約は年度ごとに行います)
評価は5年ごとに行われ、研究室リーダー個人の評価および主宰する研究室全体の業績評価やセンターへの貢献度などにより
総合的に評価されます。評価により、6年目以降の契約の延長・更新の可能性があります(最長10年)
ただし、国勢など諸般の事情により変更する事があります。
給与は、経験、能力、実績に応じた年俸制で、通勤手当、住宅手当の支給あり。社会保の適用有り。
休日は、土日、祝日、年末年始(12/29-1/3)、当研究所設立記念日。
その他、当研究所規程による。

また、ユニットリーダーというのがどのような職種であるかについては、
少し古いが(2007年)、日本生理学雑誌
掲載されていた、
理化学研究所脳科学総合研究センター知的脳機能研究グループ チームリーダーおよびユニットリーダー公募のお知らせ(2ページ目, リンク切修正:2014/09/05)
にもある。

ユニットは小型で、3~5名程度の構成です。

これは部局によっても違うのかもしれないが、チームより小さいというのは同じであろう。