大学入試の舞台裏:試験監督や出題・採点(スーパー雑務)の見返りとは...

将来の大学教授候補の第一関門・運命の分れ道である、
大学入試シーズンの到来である。
そんな大学入試も、現職の大学教員たちにとっては、
スーパー雑務」以外の
何ものでもない。以前、「工学部ヒラノ教授と4人の秘書たち」に関する記事でも引用したが、

日本の大学教官が最も緊張する雑務は、入学試験というスーパー雑務である。2日間にわたるセンター試験と、
それに続く学科入試で、日本の大学はアメリカの大学に毎年一週間分の遅れをとっているはずだ。

ということで、この雑務は、実時間では一週間、時間の分断やストレスを考慮すると、
甚大なダメージを大学教員に与えているといえるであろう。



そして、その見返りはいかに。


優秀で意欲的な学生が自分の大学に入ってくれて、社会で羽ばたき、一廉の人物になってくれれば
それは嬉しいことに違いない。しかしそれは時間の掛かることである。
もっと短期的に考えて、優秀で意欲的な学生が自分の大学に入ってくれて、
自分の研究室に来てくれれば、その苦労は報われるかもしれない。
それでも4年ぐらいの時間は掛かる。



もっと短期的な見返りがある。それは「入試手当」である。
例えば、東京大学では「東京大学教職員給与規則」:「第56条(第53条関係)」の第1表に
大学入試センター試験及び本学第2次学力試験に係る業務の区分及び手当額」
として示されている。下記にその一部を抜粋する。

業務の区分 手当額(東京大学)
出題委員 1科目7万円
採点委員 日当1万円
総監督又は総監督補佐 日当1万円
試験監督者(大学入試センター試験) 日当(第1日目)1万1千円
日当(第2日目) 8千円
試験監督者(第2次学力試験) 日当 8千円

センター試験の試験監督で1万も貰えるのかよっ!」という意見もあるかもしれないが、
新聞1面に載るかもしれない…
など、ストレスを勘案すると割にあわない仕事である。



1日目はリスニングもあるし、二日目より時間も長いからであろう、3千円高い。
また、出題委員が1科目7万円とは全く割に合わない。驚くほど割にあわない。
費やしている時間や出題ミスのストレスを考えると、試験監督の7倍の手当とはどうしても思えない。



他大学ではどうであろうか。
名古屋大学に関しては「名古屋大学職員入試手当支給細則」がある。
センター試験に関しては、同じ仕事であるはずなのに、東京大学と手当が違うのが不思議である。


二次試験の監督の日当は東京大学より名古屋大学の方が千円高い。


また、二次試験の出題委員は東京大学より名古屋大学の方が前期・後期あわせて二千円分、楽だということだろうか。


名古屋大学の採点委員は2,000枚超で1試験あたり1万8千円、2000枚以下で9千円となっている。
ジャスト2000枚だったら悔しすぎるだろう(1900枚台でも充分悔しいはず)。
しかも日当じゃなくて1試験あたりとは!(東京大学は日当)。


ちなみに、東京大学の大学院試験の出題委員の手当は、
1試験当たり1万円」となっている。
1人で全科目作成しても1万円....割にあわない仕事である。(もちろんそんな専攻はないだろうけど。。。弱小部局だと、一人一人の負担が大きい。)


いろいろツッコミどころ満載でまとまりがなくなったが、
昨年の教育再生実行会議の提言で、今後
スーパー雑務を何とかする方向になっていくと思われるが、
手当は要らないから、いち早く雑務をなくして欲しいものである。


教育と研究を頑張って教授をめざせ!