教授をめざす為のプロジェクト管理入門

教授になるためには,研究者としての能力が高いだけでは駄目だ.
コミュニケーション能力が高い資質であるのはいうまでもないが, その他に
マネージャーとして,同時に並行して走る様々な
プロジェクト(複数の研究・論文執筆作業,学生指導,講義,予算獲得書類の執筆, ...etc.)
を管理し決められた時間内に論文をアクセプトさせたり,学生を卒業発表させたり,講義の準備をしたり, その他組織の為の仕事,
予算獲得の申請書書きなどをしなければならない.



もしこのプロジェクト管理能力が欠如している研究者が独立してしまった場合,関わる周りの人が迷惑を被ることになる.


これらのことは,システム開発(ソフトウェア開発)のプロジェクトマネージャの抱える問題
とその解決法に学ぶところが多いかもしれない.

@IT : 明日からできるプロジェクト管理
から以下抜粋

開発プロジェクトは、何もしなければどんどん混乱していく。
計画は破綻し、成果物は四散し、開発要員の心理はズタズタになる。
混乱を収拾するのは容易ではない。

まったくその通りで,チーム作業でない場合ではさらに
独りでこの問題を抱え込み,心がズタズタになるであろう.


この様な事態を招かないためには,常に「進ちょく管理」をすることが大事だということである.
そしてその「進ちょく管理」には二つの原則があるとのこと.
一つはサイクルの作成.

次のようなサイクルを作成することです。
・プロジェクトメンバーも納得する計画を作成し、共有する
・この計画に沿って作業を行い、作業結果を報告し、計画と比較して分析する
・もし分析結果がある程度遅延している場合は、その対策を実施する

ということで,
計画をたてリソースを配分し,計画の進行状況を日々確認し,軌道修正をしたりするという
何か目標をたてた時には必ずする一連の作業である.



そしてもう一つは「進ちょく基準」.

「進ちょく報告」において,状況を正しく把握する精度を向上させることで,
その後の作業に必要なリソースの見積もりや計画の軌道修正がより妥当なものとなる.
この為には,「進ちょく基準」を明確にする必要があるとのこと.

「報告による進ちょく報告」の場合はメンバーの成熟度が高くないと進ちょく
状況を正確に把握できず、遅れに対しての対応が後手に回ってプロジェクトそのものが
デスマーチ」化してしまう可能性を秘めています。そのためにも明確な進ちょく基準が重要です。

とのことでその「進ちょく基準」の例として幾つかの方法が述べられているが,成果物,作業を全て
書き出すことが良さそうである.直接成果物にならない重要で必要な作業が研究や教育には数多くあるはずだ.


全ての作業・成果物を把握し,より詳細な計画をたてることがプロジェクト成功には重要であるとのこと.

地図と同様、計画の作業を細かく定義すればするほど精度が上がります

そして,作業工程もどんどん分割すると良いとのこと.
これはいわゆるデカルトの"divide and conquer"(「困難は分割せよ」)
である.そして,その分割の仕方であるが,

計画段階での作業の詳細化には限界があります。
この辺りのトレードオフを検討しながら作業を分割し、
階層化します。この作業分割した階層のことをWBSと呼びます。



WBSとはWork Breakdown Structureだとのこと.
(リンク先はwikipedia)


ということでこれらを実行する,プロジェクト管理ツールなるものもあるとのことで,紹介されている.



教授を目指す,若手独立研究者は,論文執筆や研究プロジェクト,
講義準備等の「進ちょく管理」に用いてればプロジェクト管理力があがるであろう.



さぁ,そこの君もプロジェクト管理で教授をめざせ!