教授相当の独法研究員をめざせ!
教授をめざし, 日々トップジャーナルに研究成果を発表すべく, 研究に励んでいるトップレベルの若手研究者は
必ずしも大学に在籍するの助教や准教授だけではない。旧国立研究所である独立行政法人には,
研究員, 主任研究員, 専任研究員, 主幹研究員など, 法人によって異なる「研究員」の職階が存在する.
また, 国研時代は給与体系も国立大学法人と同様であったと思われるが, 以前「国立大学法人における給与の大学間格差」
でも記述したように, 国立大学法人の間でも大きな格差がある現在では, 独法の間で格差があるはずである。
wikipediaの「独立行政法人一覧」を見ると, 多くの省で様々な独立行政法人になっている
旧国立研究所があるのがわかる。
例えば,
- 総務省 情報通信研究機構
- 財務省 酒類総合研究所
- 文部科学省 物質・材料研究機構, 防災科学技術研究所, 理化学研究所, 宇宙航空研究開発機構, 日本原子力研究開発機構
- 厚生労働省 国立がん研究センター
- 農林水産省 農業・食品産業技術総合研究機構, 農業生物資源研究所, 森林総合研究所
- 経済産業省 産業技術総合研究所
- 国土交通省 土木研究所
- 環境省 国立環境研究所
などがある。以下、最大規模の研究所である文部科学省系の「理化学研究所」、経済産業省系の「産業技術総合研究所」
を例にとり、職階や給与体系について調査結果をまとめてみたい。
さて、その前にサイエンスポータルにある職階の説明を
以下に引用しよう。
教授相当 : (研究チームの長相当)大学の教授、部・室・グループ長等
准教授相当 : (研究チームの副長相当)大学の助教授、准教授、主任研究員等
講師相当 : (研究チームの研究員相当)大学の講師(非常勤含む)、助教、助手、ポスドク、研究員、准研究員(リサーチアソシエイト)等
また、研究者人材データベースにも同様の記述があるので
引用しておく。
研究職A [ Senior Researcher ] : 大学・高専等の教授 研究機関の部・室・グループ長等
研究職B [ Mid-level Researcher ] : 大学・高専等の准教授, 研究機関の主任研究員等
研究職C [ Entry-level Researcher ] :大学・高専等の講師(非常勤含む)、助教、助手, 研究機関のポスドク、研究員、准研究員(リサーチアソシエイト)等
教授相当に対応する、研究機関の「部・室・グループ長等」は「部」か「室」か「グループ」かで大きく違うようにも
思えるが、給与面では学科長や学部長のように「役職手当」が違うと考えればいいかもしれない。
さて、外部から見ていてよくわからないのが研究所における「准教授相当」の職である。
例えば、理化学研究所では「専任研究員」というのがそれにあたると考えられ、理化学研究所では「教授相当」が
「主任研究員」であり、その「主任研究員」のの権限が大学における教授よりは大きいようである。
一方で、「産業技術総合研究所」の「主任研究員」は准教授相当のようであり、それぞれ
「グループリーダー」「グループ長」が教授相当にあたると考えられる。
給与に関しては
産業技術総合研究所の給与規定は「独立行政法人産業技術総合研究所職員給与規程」
として公開されており, 研究職俸給表は1級から5級まであり, 大学における
「教育職俸給表」と対応が付いている。
例えば「独立行政法人産業技術総合研究所の役職員の報酬・給与等について」にあるように, 2級(研究員), 3級(主任研究員, 研究員),
4級(研究グループ長, 研究チーム長, 主任研究員), 5級(ユニット長)などとなっている様だ。
理化学研究所については, 俸給表と職階を関連づける詳しい資料を見つけることができなかったのだが、「独立行政法人理化学研究所の役職員の報酬・給与等について(平成22年度)」
や, 「平成 22 年度実績報告書」にあるように, 研究員の流動性確保のためから, 主任研究員, 准主任研究員のみならず, 専任研究員, 研究員を含む定年制研究職員にも
年俸制が導入されている様だ(平成22年度では、「定年制研究職員 344 人のうち、74 人が年俸制となった」とある)。
教授をめざす上で、大学に在職するものとしては, 以上に説明した独立行政法人の研究者たちは, 教育等に時間を
とられずに研究に専任できるため、研究の実績上では大きなライバルになるであろう。ただし、大学には大学の
良さがあり, 研究にプラスの影響を与えるであろう、基礎概念を常に意識し再考する教育や
学生という常に新しい人材が流動的に研究室に入ってくる環境からは
独立行政法人では生まれない「新しい研究」が出てくると信じたいものである。