できればこのクラスまでの大学の教授になってほしい、Eランク大学

前回, 「 あしたのために 〜テニュア(終身在職権)を得る方法〜」として,
Natureの記事を引用し, 大学教授を目指す若手研究者が, どのような戦略で
任期なしの教員になるか, ということについてまとめた. 日本には多数の大学がある.
国公立から私立大学まで, 開学準備中の大学も含めると779校ある(wikipedia日本の大学一覧」より).


これだけ多く大学があるのだから, 個人の努力とチャンスさえあれば,
どこかでテニュア職(任期なしの教員)に就くことは十分可能であると思われる.
もちろん, その難易度は研究分野に依存するのではあるが.


しかし, 近年の少子化
により18歳人口は年々減少傾向にあるため, 特に私立大学では,
せっかく苦労して任期なし教員になっても, その大学の経営状況が思わしくなければ,
給与減, 研究・教育環境の改悪などに直面することになる. 例えば本ページの
左下のリンク先の「大学教員公募についてのメモ(52連敗氏)」の中にある「危ない大学の特徴」にあるような現実がそこに待ち受けている
かもしれない.


国立大学法人でも, 給与削減, 大学院定員の充足率の低下による教員ポストの削減,
運営交付金の削減により, 定常的な研究教育費が削減されていっている.


このように大学をとりまく環境は厳しいが, そのような中でも, より良い研究・教育環境を
求めて日々研究(幅広い意味でも)していくことが肝要である.


今回は私立大学の任期なしポストへ就くことを想定し,
島野 清志 (著) 危ない大学・消える大学 2012年版 (YELL books)を参考に, 就職先・転出先としての私立大学について考えてみたいと思う.

この本では, 「入試偏差値および総定員充足率による私立大学分類」として
SA, A1, A2, B, C, D, E, F, G, Nと大学を分類(ランク付け)している. そして, Eランクまでの大学について
「できればこのクラスまでに入ってもらいたい」としている.


この先, 18歳人口がさらに減少していくことは明らかであるので,
EランクからFランクへ, DランクからEランクヘ....と下がっていくのは間違いないように思われる.
そう考えると, B, Cぐらいまでのランクの大学へ就職・転出することが望ましい.


具体的な大学名を公表して, ランク付けしてあるのが本書の特徴ではあるが, ほとんどそれぞれの大学入試の難易度と変わらない. (実際に偏差値がランク付けの基準に入っている. 代ゼミネット入試ランキング表を参照)
Nランクを「危ない大学・消える大学の候補校」として公表していること, 定員充足率の情報が加味されていること, また大学人にとっては
経営改善するための「指針」のようなことまで書いてあるのは興味深い. (就職や転出先を考えている研究者にとっては関係ないが...)


個別の情報は実際に書籍をみてもらう事にして, ここでは
「大学受験に賭ける君に贈る5つのアドバイス」を一部改変して
「大学教授をめざす君に贈る, 就職先・転出先大学選択のための5つのアドバイス」として記しておこう。

「大学教授をめざす君に贈る, 就職先・転出先大学選択のための5つのアドバイス
1. 大学選びは学部より大学名で選ぶべし
2. 研究者をバリバリ育てたいのなら女子大より共学を
3. 納得がいかないのなら迷わずポスドク・非常勤講師を選ぶ
4. 自己の研究・教育スタイルにあった大学を選ぶ
5. 同じレベルなら歴史のある大学を選ぶこと





1, 5は受験生向けと全く同じで本書の記述をそのまま記した. 2, 3, 4 は教員用に一部改変したが,
内容的にはほぼ変わっていない. 「3. 納得がいかないのなら迷わずポスドク・非常勤講師を選ぶ」は分野によって違うと思うが,
特に若いうちは, 研究・教育業績を積む為に, 雑務や研究・教育以外のことで消耗するよりはずっといいと思われる.


本書で紹介されている, 私立大学全般の情報として「大学の定員別, エリア別の定員充足率」は
日本私立学校振興・共済事業団」から最新の情報を得ることができる.
例えば, 「平成 22(2010)年度私立大学・短期大学等入学志願動向
などがそれである.



殆ど自分のメモのために本文書を書いている訳だが、同様に教員公募戦線に参戦しているライバル達の参考にもなればと思う。