気がついたら教授に...を実現するには[研究者の段位]

皆、研究者は『教授』だけをめざして日々精進している訳ではない. 研究者として自己実現した場合に自ずと教授になっていた、というのが多いのかもしれない. 研究者として自分の興味に従い, よりよい研究環境をどん欲に追求し、成果を上げていった場合に結果として最短の出世コースになっていれば理想的である.そのような観点で研究者の人生について書かれているのが『研究者人生双六講義』という本である.

研究者人生双六講義 (岩波科学ライブラリー 96)

研究者人生双六講義 (岩波科学ライブラリー 96)

どのように研究テーマを選び、研究を進めて行けばよいのであろうかについては,

その分野の発展性とか, 将来性などに左右されることなく「自分の興味」そのものを研究テーマとすることがまず第一歩です. その上で, 「知りたいこと」を知るためには、使えるテクニック・技術・手法は全部使える様にする(中略), 多くの人は「手法」をまず習得して, それを応用できるテーマを研究しようと考えますが, それでは限界がが低くなり, やがて行き詰まったときに、解決が非常に困難になります. 逆に興味から考え始めれば, 一寸困難にぶつかっても研究を無限に展開することができます.(一部改変)

と小さい研究者で終わらずに, 分野を代表する研究者を目指すように書かれている.
研究者の成長を『段位制』にみたてて記述してあるので引用すると,

  • 初段: 与えられたテーマで実験をして結果を出せること
  • 二段:自らテーマをみつけて仮説を立てられる
  • 三段:自分の名前で研究費を獲得できること
  • 四段:独創的な研究を着想遂行できること
  • 五段:研究領域で不可欠な人材になること
  • 六段:研究領域を代表して組織を率いること
  • 七段:独自の研究領域を提案し予算枠を獲得できること
  • 八段:国家の科学技術基本政策を策定できること

となっている. これらの中身については追々このダイアリーで取り上げてみたい. 四, 五段ぐらいまでは助教授(准教授), 六段ぐらいから教授というイメージだろうか.

最後に

研究者人生を考えるとき、その志とは何か、何が実現したときその志が叶えられたと思えるのか、何をもって自己実現したと考えられるのか

自分の考えとしては, 一生に幾つかの優れた仕事をおこないそれで数冊の専門書と新しいタイプの教科書、一般向けの入門書等を執筆することだろうか. それで原稿料や印税が入れば嬉しいが、額はたいして期待できないだろう....。