大学教員の給与4:アメリカ化する日本の大学

ポスドク増加, 教員の任期制導入, 職階の変更(助教, 准教授), テニュアトラック制, など日本で大学教授を目指す為のキャリアステップは急速に変わりつつある. これらは科学研究で一歩先を行くアメリカの制度に近づけようとする試みのようである. そして, 人事のみに限らず, 大学運営そのものが急速にアメリカ化していっている様である.

このような中, どのような戦略, モティベーションで『教授』を目指していけば良いのだろうか?

『切磋琢磨するアメリカの科学者たち』という本は, アメリカにおけるキャリアステップや大学運営について知るのに大変有用な本である.

もちろん, 研究者の日々研究するモティベーションは, この本の『おわりに』にあるように,

優れた研究を遂行し, 素晴らしい研究成果を上げ, トップジャーナルに成果を報告する, この一言につきる

訳ではある. しかしアメリカでは

大学では通常9ヶ月もしくは10ヶ月の給与支給額を基準とする. (中略) 夏休み中は大学自体が3ヶ月休みになるため, 大学は授業のないこの間の給与を支払わない(中略) 外部から科学研究費を取得している教員は, この期間の給料を科学研究費から支払うことができる.

のように, なっており, 給与が研究や昇進のモティベーションに占める割合が高いことは間違いない. そもそも大学の運営が各教員個人がとってくる科学研究費(間接経費)に依存している訳であるから, 多く研究費をとってくる教員には多く給与が支払われる訳だ. そしてそのような『多く研究費を取得する研究者』には引き抜きがかかり, 給与が高騰するらしい.

現給与額の1.5倍〜2倍の給与が提示されることが多い.

つまり, アメリカの研究者でテニュア取得後に異動をよくしている研究者はとてつもない給与を貰っている可能性が高い. 異動していない人でも現大学が「引き止め」の為に給与を同様に跳ね上げるらしい.

今後, 日本の大学も現状の横並び的な給与体系から『成果主義』的なアメリカ型の給与体系になっていく可能性は否定できない.
...というより, 明らかにアメリカ化していくのではないだろうか?